東京都の中小企業の障害者雇用の実態とは?

企業は従業員数の2%にあたる人数の障害者を雇用する必要があります。いわゆる障害者雇用における法定雇用率です。直近のデータを見れば、2014年の障害者雇用率は1.82%、そのうち大企業と言われる従業員数1000名以上の企業は2.05%と法定雇用率を達成している状況です(すべての企業が達成というわけではなく概算です)。
 

企業数の多い東京都内で見ると、昨年11月末に発表された東京都の障害者雇用の状況(2014年6月1日現在)としては、東京都の民間企業の障害者実雇用率が1.77%、大企業が2.02%に対して中小企業が0.99%という結果になっています。中小企業の障害者雇用率を高めていくことが急務なのは、数字から簡単に導くことが可能です。
 

20150813ニュース
 

では、どうすればいいのか。その観点で東京都福祉保健局が昨年11月に上記発表に合わせて発表された「障害者就労実態調査報告書」がなかなか興味深いものになっています。これは2013年度に障害者雇用していた中小企業から無作為に1800社を抽出し、そのうち回答してもらえた574サンプルの結果をまとめたものです。例えば「身体障害」が全体の67.0%を占め、「知的障害」が13.0%、「精神障害」が10.1%という雇用されている障害者の障害種別結果であったり、雇用形態は「正社員」が53.6%であるものの、障害種別でみれば、身体障害が正社員雇用が7割近くを占めるのに対し、知的障害では13.4%にとどまっているなど、現場感が伝わるものになっています。
 

採用と職場定着のポイントでは違いが見える結果となっていて、採用時は「就労意欲」「職業遂行能力・スキル」「健康管理」が上位項目として挙げられているものの、職場定着では「就労継続意欲」「周囲の社員の理解」「周囲の社員との人間関係」という周囲とのコミュニケーション面が上位に挙げられていることが示唆的だなと感じます。周囲の理解は障害理解に近いものがあると思います。ただ、人間関係は双方向で創り出すもの。障害者側も職場に溶け込んでいく前向きな働きかけを実施していく必要がありそうです。
 

個人的には、雇用のきっかけの結果にある、「採用後、障害者手帳を所持していることがわかった」や「以前から雇用していた人が傷病により障害者手帳を取得した」等の回答が目立ったという点に好感が持てます。障害者雇用を初めてやる企業に対して「まず社内に障害者がいないか確認してみて下さい」と伝える、一種の障害者雇用あるあるの反映だなと思うと、現場の本音が混じった調査報告だなと感じました。
 

(参照)
障害者就労実態調査|東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/jittaichosa.html

平成26年「障害者雇用状況」集計結果(平成26年6月1日現在)|東京労働局
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0138/3494/houdou.pdf

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