2015年8月7日、文部科学省の学校基本調査の結果が発表され、主要webニュースメディア各位はその結果を一斉に速報しました。調査結果によると、2014年度に病気や経済的理由以外で年間30日以上欠席した「不登校」の小中学生が、前年度より約3300人多い12万2655人に上りました。過去最多の13万8733人を記録したのは2001年のことで、その後減少傾向にあったものの、2013年度は6年ぶりに増加に転じ、続く2014年度でその数は更に増えました。
このニュースを知ったとき、皆さんはどのようなことを考えるでしょうか?「多いなあ」「解決しなきゃいけない問題だ」という意見もあれば、「特に問題ではない」「いつの時代にもいる」という意見など、様々あることでしょう。参考までに、これらのニュースをSNSでシェアしていた方々の意見を簡単に集めてみました。
・無理に学校へ行く必要はない。学校に行かないことで学ぶこともある。
・不登校率が上がることで自殺率が下がればそれでいいのでは。
・今は塾や習い事のストレスが甚大。これがいじめや不登校の原因になっていそうなので仕方ない気も。
・小学生から不登校ってその子将来大丈夫?親甘やかせすぎじゃない?
・親や学校は再登校させるための努力をすべき。
・義務教育は教育の入り口、そこが揺らぐということはこの国の将来に関わるので早急に対応しなければ。
前半3つの意見がどちらかというと不登校に対して「肯定的」なもので、後半3つは「否定的」な意見と捉えられるように思います。あるメディアでは「不登校の数が”過去最悪”」といったタイトルがつけられ、「不登校=悪い」という印象になっていたり、逆に「その”最悪”という表現はいかがなものか」という批判が寄せられていたり。7~8年前頃までは「不登校=駄目」という図式で「不登校生には再登校を促す」という傾向が強かったことを思うと、不登校に対する世間の捉え方が多様となっていることが伺えます。
今年の3月まで、私は2年ほど不登校生の支援に関わっていました。あくまで支援者のいち意見ではありますが、個人的には「不登校生増加」の言葉に対してあまり否定的な気持ちにはなりません。私の基本スタンスは「学校は行っても行かなくてもどっちでもいい」で、学校に行かないことでその機会が失われそうな「勉強」や「人との関わり」は外部機関でいくらでもフォローできると考えていたためです。(しかし都市部と地方では大きな差があるため一概には言えません。都会に比べて地方では不登校生に対する理解やサポートを受けられる機会はかなり少ないです。)
不登校になる背景は本当に様々ですが、1度「レール」から外れてしまった時に、無理やりレールに戻す必要はなく「その子のタイミングで戻れば大丈夫」という余裕を支援者や大人側が持つことは子どもにとっても非常に大切だと感じていました。実際「大丈夫」だった実例にたくさん出会ってきたこともあります。
不登校生数がピークだった2001年から減少傾向とされていますが、実際には「病気」「家庭の事情」という理由で不登校にカウントされていない子も多くいたと言われています。「フリースクールでも義務教育を」という動きが出たように、数の増減に関わらず「学校に行けない子でも教育を受けられる機会」について、国や自治体、世間が考えて動いていくことが大切だと思っているので、むしろ「不登校生増加」という今回の事実によってその風潮が強まっていけばいい、という意見はいささか乱暴でしょうか。
さて、改めて、「小中の不登校生数 2年連続増加」という事実、皆さんはどのように捉えますか?ぜひいろんな立場の方のご意見を伺ってみたいところです。
(参考)
・日本経済新聞「小中の不登校、2年連続増 14年度12万人」
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO90255620X00C15A8CR8000/
・Yahoo!ニュース「小学生の不登校率、過去最悪=2年連続で増加 ー学校基本調査」
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6169713