フリースクール「義務教育化」の動きが進むのか?

超党派の議員連盟は27日、不登校の児童・生徒が通う「フリースクール」での学習を義務教育の制度に位置づける「多様な教育機会確保法案(仮称)」を、国会へ提出する方針として定めました。同案では、保護者が学校やフリースクールなどと相談して学習計画を作成し、市町村教育委員会に申請、教委は「教育支援委員会」で審査したうえで計画を認定します。その計画に基づく学習内容を履修できたと判断すれば、高校受験を与えるという仕組みが検討されています。
 

20150602ニュース記事
 

これまでは、「義務教育=就学義務(学校に通学して学習すること)」とされていたことで、フリースクールを含めた外部機関での学習は義務教育とはみなされず、不登校生に対する国や自治体の支援や対応も「学校に戻す」ことを前提とした適応指導が行われてきました。今回の法案は、その前提が転換し「多様な学びの機会の提供」を実現しようとする画期的な動きであると注目されています。
 

また、義務教育は無償である一方、フリースクールに通う学費は各家庭で全負担しなければいけませんでした。これに対し同案では、フリースクールの義務教育化に伴い、国や自治体に対して家庭への経済支援も求めています。
 

その一方で、この法案における様々な課題も指摘されています。
・すべてのフリースクールへの通学を「義務教育」として認めるのか?
・フリースクールで受けられる教育の質を担保することはできるのか?
・保護者と学部教育機関が作成した「学習計画」を教育支援委員会が認める基準は?
・フリースクール通学費を国がどこまで負担するのか?
 

1点目の疑問に関して言えば、ひと言でフリースクールといってもその実態は様々で、学習体制の整った機関もあれば、遊び道具と話し相手が存在するだけの「居場所」の要素が強い機関もあります。学習指導ができる人のいないフリースクールもあるなかで、その場所に通うことを「義務教育の履行」と認めるか否かは今後議論の大きな争点となりそうです。
 

●参考URL

・NHKニュース 5月27日「フリースクール”義務教育の制度内”に」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150527/k10010093671000.html

・文部科学省:就学義務に関する論点と主な意見
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/06070415/002.htm

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