皆さん、ストーマって知っていますか?人工肛門という言葉だと馴染みがあるかもしれませんが(消化管ストーマ)、大腸や小腸などの消化器、尿管などの泌尿器を手術した後、便や尿の出口(排泄孔)を体外に造ったものがストーマです。癌を患ったことで手術をし、ストーマを装着する(私の祖母もこのパターンです)というとイメージが付きやすいかもしれませんが、大腸がんや膀胱がん、潰瘍性大腸炎、クローン病、先天性疾患などの疾患、あるいは事故が原因のほとんどを占めています。オストメイトという言葉がありますが、これはストーマを装着しているひとのことを指し、全国で15万人以上いるとされています。
2015年5月30日に「ストーマケア情報サイト」が開設されました。これまでストーマケア情報を体系的に得ることができなかったという背景から生まれたこのサイトは、アルケア株式会社が運営しています。
ストーマを持って生活する人、そしてその暮らしを支える医療従事者が、気軽にアクセスできて、すぐに役立つ知識を容易に手にすることができる“玉手箱”のような情報源があればいいなという思いで、このホームページを立ち上げました。(ストーマケア情報サイトとは)
現在、インターネットの世界には無数の情報が転がっていますが、その情報の真偽を確認することはなかなか難しいもの。今回のストーマのように、医療・福祉といったテーマが関わる情報に関しては、専門家であっても白黒つけづらい情報があることも事実です。ストーマケア情報サイトが専門家の監修のもと、医療従事者のための「ストーマケア・ナーシング」、ストーマを持って暮らす人たちのための「ストーマ・ライフ」、小児ストーマの情報を集めた「小児ストーマ」という3本柱で構成されていることは、非常に有意義なものです。
個人的には「もし自分がストーマを装着しなくてはいけなくなったときにどうすればよいのか」という不安に対する答えが示されていることが嬉しいです。ストーマを装着しているひとは身体障害者となる、障害年金を受け取れる場合があるといったことは知っておくと有益なものです。また、私自身は祖母がストーマをつけているので知っていましたが、ストーマは排泄孔であって、排泄物を溜めるための専用の袋状のストーマ用装具をお腹に貼る必要があるということは多くの人が知らない事実ではないでしょうか(そもそもストーマを知っているかどうかも怪しいですが)。排泄が行われる度に交換が必要になるため、この装具は日用品と同じように購入しなくてはなりません。これに係る福祉サービスに関しても情報を得ることができます。
オストメイトの方々は、排泄に関わる問題やストーマ周囲の皮膚トラブル、骨盤内手術に起因する性機能障害や排尿障害など、数多くの不安や悩みを抱えています。今までは医者と当事者、当事者仲間同士の交流などで情報が交換されていたものが、WEBサイトのような新たな情報流通源が生まれることは、ポジティブなものだと思います。医療や福祉のサービスを受けなくてはいけない当事者が、QOLの向上のために自らでできることとして、WEBやアプリといったICT技術の進化をうまく活用していくことが挙げられるのかもしれません。
(参照先)
「ストーマライフ」
http://www.almediaweb.jp/stomacare/life/
「ストーマケア・ナーシング」
http://www.almediaweb.jp/stomacare/medical/