障害者の法定雇用率が2018年4月に引き上げ

障害者の働く環境が変わりつつあります。厚生労働省は5月30日に、2018年(平成30年)4月1日から民間企業の障害者の法定雇用率を2.3%(当面は2.2%)に引き上げることを了承しました。今回の大きな変化のポイントは以下の2点あります。
 

1.法定雇用率が引き上げられたこと
2.精神障害者の雇用が義務化されたこと
 

私は、今回の2点は企業で障害者と働く人、そして障害者自身にも大きな転換点となりえると考えています。
 

法定雇用率の変化については以下の通りです。
 


 

身体障害者・知的障害者を算定基礎として法定雇用率を計算していましたが、算定の基礎対象に新たに精神障害者が追加されます。
 

ハローワークの調査(2016年度)によると、年々雇用される障害者の数は増えています。雇用される障害者を障害種別で見た時に、年々数が最も伸びているのが精神障害者です。
 

ただ、精神障害者の雇用の場合、他の障害とは異なる困難があることも留意しなければなりません。精神障害は他者から見て「わかりにくい」障害であり、それ故にイメージが湧きづらいのです。また、精神障害の方は障害種別で比較した場合にもっとも離職率が高いという統計も出ています。精神障害の人へのフォローが上手く機能していないところは多いということもできるのではないでしょうか。
 

今回の法的雇用率の引き上げは、障害者と一緒に働く人たちに大きな転換を迫られるものでしょう。雇用すべき人数も増え、必然的にその障害の種類も多種多様になります。今までのように障害者に「単純作業や簡単な仕事」を任せるだけではなく、まだ障害者が活躍していないフィールドでの仕事の切り出しを考えていく必要もあるかもしれません。
 

また、障害者自身も職務開発を求められていると言えるかもしれません。自分はどういった仕事ならできるのか、どんな環境が望ましいのか、それを自覚して戦略的にキャリアを描く必要性があるのではないでしょうか。雇用されている障害者が増えると、その中で優劣がついてしまいます。福祉の事業所に通うのであれば、資本主義の自由競争だけでない部分も見てもらえることもあるでしょう。ただ、一般企業に雇用されるということは「競争」の中に自ら参加することでもあると、忘れてはいけないのではないでしょうか。
 

【参照】
民間企業の障害者雇用率を段階的に2.3%に引き上げることを了承|厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000166129.html

ハローワークを通じた障害者の就職件数が8年連続で増加|厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000166251.html

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