「自殺者が多い」「自殺者3万人」「交通事故の死者よりも多い」と言われている日本。なんとなく私自身も毎年3万人が自らの命を自らで絶っているという印象をもっていました。
警察庁が今年3月に発表した「平成26年中における自殺の状況」によると、昨年平成26年の自殺者は25,427人で、前年に比べ1,856人(6.8%)減少。最後に自殺者3万人を記録した平成23年と比較すると(平成10年〜平成23年が自殺者3万人の期間)、毎年その数は減少しているという結果が出ており、平成21年からは5年連続の減少となっています。直近のデータとしては平成27年度5月の暫定値が発表されており、2,212人。1月から5月までの累計としては10,371人となっています。
平成26年の自殺者の内訳を見てみると、男女比が約2:1で男性のほうが多く、年代別で見れば40歳〜69歳が半数を占めています。これは多くの年で似た傾向が見られます。職業別では無職者の方の自殺が半数以上となっており、自殺動機(判明しているものに限る)は健康問題が群を抜いているという結果が出ています。仕事がなくお金を苦に自殺するというロジックはあまり成立しないのだな(ドラマなどの見過ぎだな)というのが率直な感想です。
自殺者が減っているというのは、国や民間機関などの自殺対策が一定の成果を収めているという現れだと思いますし、きちんと評価すべきことだと思います。それでもなお、自殺者の数が多く、それは世界的に見ても多いというのは事実ですが、大きな枠組みで動いている支援者や草の根的に活動している方々の成果に対して評価をしない限り、さらなる前進は難しいと感じます。残された家族の問題や自殺企図する方々のメンタルケアなど「自殺」を巡る問題は多岐に渡りますし、いつ自分が当事者になるかはわかりません。まずは自殺者が減り続けているという事実とその数字を認識し、何かあったときにどこに相談すれば良いのかを知ることが重要なのではないでしょうか。
(参照)
警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等|内閣府自殺対策推進室(2015.6.19)
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/toukei/pdf/tsukibetsu_zanteichi.pdf
平成26年中における自殺の状況|内閣府自殺対策推進室(2015.3.12)
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/toukei/pdf/h26joukyou/s1.pdf
平成26年中における自殺の内訳|内閣府自殺対策推進室(2015.3.12)
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/toukei/pdf/h26joukyou/s2.pdf