「これからの男女共同参画とは?」というテーマで開催された住友理工株式会社主催の学生小論文アワード。最優秀賞は100万円という、個人的に羨ましくなってしまうアワードですが、ダイバーシティやワークライフバランス、インクルージョンといった考え方を軸に、男女いずれにも偏らない視点から本当の意味でイキイキと働ける社会を学生の目線から提案してもらおうというもの。今年の2月から募集が始まり、6月末に受賞者が決まりました。
最優秀賞は法政大学人間環境学部3年の福屋実希子さん、久米祐梨子さん、小阪幸美さんが書いた「働く人の対等なパートナーシップが築く男女協働参画社会を求めて-企業理念と組織風土のリコンストラクション」。女性が働きやすい環境を構築するための課題の整理、仕事面に限らずあらゆる面で男女間のパートナーシップを築くべきであること、女性が働きづらさを抱えてしまうが故に潜在させられている能力を発揮するための企業風土への改善提案、大別するとこの3項目が書かれているという私的認識です。最優秀賞は王道から選ばれるなあという感覚が残る小論文でした。
個人的に興味を引いたのが優秀賞の「競争力としてのダイバーシティ-にわかダイバーシティからの脱却-」です。「にわか」という言葉を使い、ダイバーシティ論の揚げ足を取ろうとして…いや事実認識を行っている点が好印象なのですが、
筆者は就職活動中であるが、ダイバーシティは企業説明会の中で主に福利厚生の説明において語られる。そのような企業の多くが取り組んでいるのは、女性に対する施策である。育児休暇、介護休暇への配慮やワークライフバランス制度の導入が主な内容だ。そこに「創造性」といった言葉がみられることはもちろんない。(小論文内より抜粋)
というダイバーシティが「多様性」をテーマに扱っているのに対し、今の日本企業の多くは「男女共同参画」という一面から括りがちであるという点、そしてダイバーシティが「働き方の提案」ではなく、「競争力の強化」が主たる目的であるという本質を提示している点が素敵だなと感じました。
企業にとってのダイバーシティはツールでしかないという意見やダイバーシティに則って社員同志の議論や衝突が必要であるという意見も的確で、読後の爽快感でいえば(Plus-handicapの判断軸をもってくれば)個人的にはこちらに軍配を上げたくなります。
審査員特別賞の「2-6-2の法則を打ち崩す知恵」などの着眼点を含め、社会や企業に対する学生からの提案や問題提起は鋭いなと感じます。もちろん学生だからこそ書ける点もあるとは思いますが、逆に社会人になって書けなくなった、言えなくなったというならば、そこには悲劇が含まれていそうです。
(参照)
住友理工 学生小論文アワード
http://www.se-award.jp/index.html
「競争力としてのダイバーシティ~にわかダイバーシティからの脱却~」
http://www.se-award.jp/pdf/award2.pdf