12月20日、渋谷で非正規滞在外国人の子どもたちとその家族、支援者らによるパレードが行われた。主催は、日本在住外国人の支援を行うNPO法人APFS(Asian People’s Friendship Society)で、日本で生まれ育ったにも関わらず、在留資格がない子どもたちが安心して日本で家族と暮らし、将来の夢を叶えられるよう在留資格を求めて訴えた。
この日行われたパレードは、在留資格のない子どもを含め、すべての子どもたちが夢を実現できる社会を目指した「子どもの夢を育む100日間行動」の一貫で、2015年8月29日から100日間、在留資格がない10名の子どもを中心に、国会議員への陳情や入国管理局前での訴えなど、当事者の子どもたちが先頭に立って活動を続けている。11月25日には日本外国特派員協会で記者会見を行い、当事者の高校生2名が、非正規滞在外国人をめぐる現状や将来日本で叶えたい夢について語った。
パレードの前に開かれた出発式では、APFSの加藤丈太郎代表による100日間行動の報告/集まった子どもたちの決意表明/法務省の速やかな在留許可と「児童の権利に関する条約」に基づき、親子を分断させないことを求めた「APFS子どもの夢を育む100日間行動」決議文の採択などが行われた。マイクを手にした子どもたちは、「恥ずかしい気持ちはありますが、支えてくれる人は必ずいると思うので、助けられるばかりじゃなくて自分も一歩踏み出して頑張っていきたい」「自分たちのような(在留資格がなく困っている)人たちの存在が伝わるように頑張っていきましょう」と、これから出発するパレードに向けて意気込みを語った。
パレード出発地点の宮下公園には、在留資格のない子どもたち8名を含む約50名が集合。列の先頭に並んだ子どもたちは、「日本で夢を叶えたい」「家族みんなで日本で暮らしたい」などと書かれたプラカードを手に持ち、買い物客で賑わう渋谷の街へ出発した。商業施設やスクランブル交差点前などでは、多くの人がパレードに注目し、子どもたちの訴えに耳を傾けた。
この日千葉県から一人で参加した在留資格を持たないフィリピン国籍の中学1年生の女子生徒は、「普段はこうして思いを伝えられる機会がないので、参加できて良かった。日本の平和を守りたいから、将来は警察官になりたいです」と話してくれた。以前からAPFSの活動にボランティアとして関わり、パレードでは沿道の人たちに活動内容を書いたチラシを配布していた大学4年生の權(こん)さんは、「自分は在日韓国人で彼らと同じ外国人だけど、生まれながらに在留資格があります。外国籍で困ることもあるけど、彼らに比べたら恵まれていると思うので、彼らの力になりたいんです」と、語った。
貴重な労働力として日本社会に貢献し、地域にとけこんだ外国人と、日本人同然に生まれ育った子どもたち。彼らは在留資格がないために、健康保険もなく、進学や就職に不安を抱く日々を送っている。生活習慣も言葉も分からない親の母国に行かされるのか。日本にいられるのか。日本にいられたとしても、親子揃っての在留資格が得られるのか。不安は尽きない。
「子どもは生まれてくる環境を選べません。在留資格のない子どもも含め、すべての子どもが夢を叶えられるよう、子どもたちの声に耳を傾けられる社会であってほしいです」と加藤代表。日本で生まれ育ち、将来は日本社会に貢献する仕事がしたいと願う子どもたちの夢の実現のために、今、多くの支援が必要とされている。