女性にとって、育児や介護と仕事の両立は難しい問題。昔よりは、男性も育児に参加する風潮が出てきたとはいえ、現在も実際の担い手は女性であることが多いようです。日本は特にそれが大きいことで有名で、女性の労働力の「M字カーブ」(※女性の労働率が、結婚・出産を機に一旦低下し、また上昇すること)の問題もあります。そして、そのM字カーブは年々浅くなっています。これは女性が離職しなくなってきたことを示しています。
「育児や介護の担い手になることが多い女性が、離職しなくても働き続けられる職場」を作るため、平成29年10月1日に、改正育児・介護休業法がスタートします。
(内閣府 男女共同参画局ホームページより抜粋)
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-01.html
今回の法改正のポイントは以下の3つです。
①最大2歳まで育児休業の再延長が可能に
②子どもが生まれる予定の方などへの育児休業等の制度などをお知らせ
③育児目的休暇の導入を促進
それぞれを詳しく説明しますと、
①今までの法律では、子どもが保育園に入れない等の場合には、育児休業期間を1歳6ヶ月まで延長可能としていました。その延長可能期間が、2歳までに再延長可能となりました。育児休業給付金の給付期間も2歳までとなります。
②事業主は、働く方やその配偶者が、妊娠・出産したこと等を知った場合に、その方に個別に育児休業等に関する制度(育児休業中・休業後の待遇や労働条件など)を知らせる努力義務が創設されます。
③未就学児を育てながら働く方が子育てしやすいよう、育児に関する目的で利用できる休暇制度を設ける努力義務が創設されます。(例:配偶者出産休暇、子の行事参加のための休暇など)
今回の法改正は「条件が整いさえすれば、同じ会社で勤め続けたい」と考えている女性にとって朗報でしょう。②③は努力義務ですが、政府側が女性に働くことを推進していることは事実です。女性も働き続ける時代になってきたということですね。まだまだ、実態は追いついていないと思われますが。
個人的には「女性側にどれだけ働き続ける意思があるのだろうか?」ということに疑問を抱きます。私の親の世代は専業主婦が多かったはず。高度経済成長期に働いていた世代です。雇用も、新卒一括採用、年功序列の昇進等の日本的雇用システムがかろうじて残っていました。その恩恵としての「専業主婦」も多くいました。
そのためか、私が就職活動をしていた時に同性からよく聞いたのは「子どもが出来たら辞めたい」ということでした。「子どもが小さいころはそばにいてあげたい。自分もそうしてもらったから。」という人が多くいました。一生働き続ける前提で仕事を選んでいる人は少なかったように思います。
これはもちろん、一般的なデータではなく個人的な経験です。周囲が偏っていたのでしょう。看護学校等、専門職を育てる学校であればまた、異なるのではないかと思います。ただ、就職してからも周囲の女性からは冗談とも本気ともつかない「仕事辞めたい。それにはお金持ちと結婚しなきゃ」という言葉を未だに聞くことがあります。ある程度まだ社会の中に「それもあり得る」という風潮が残っているように思います。
子どもを理由に仕事を辞めずに済むようになる、ということは、子どもを理由に仕事から逃げることが難しくなることでもあります。これからは、女性も「休む期間はあるかもしれないが、ずっと働く」という前提で仕事を選び、継続していく時代なのかもしれません。
(参考)厚生労働省 リーフレット
「平成29年10月1日から改正育児・介護休業法がスタートします」(2017.5.26)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h29_05.pdf