2016年4月1日より、脳脊髄液減少(漏出)症のブラッドパッチ治療が保険適用となりました。今まではブラッドパッチ治療は自費治療(保険適用外)だったため、場合によっては30万円以上の治療費の全額が自己負担となっていましたが、今回の医療保険の適用によって、患者の負担が大きく軽減することになります。
Plus-handicapでも記事として多く取り上げている脳脊髄液減少(漏出)症は、原因不明の突発性と、交通事故・出産・転倒・運動などに起因した外傷性の主な2つの原因から発症するものであり、脳脊髄液が慢性的に減少していることで、頭痛や様々な全身症状が現れる疾患です。
患者数は十数万人から数十万人と言われていますが、診断・治療できる病院が50弱しかない、治療法が確立しているわけではない、保険適用の範囲が狭い、毎年3万人程度発症している(早期発見できれば症状改善の確率は上がる)割に認知が広がっていないなど様々な課題を抱えている疾患でもあります。
2000年頃から医療現場での研究・治療が始まってきたこの疾患は、2007年から厚生労働省の助成のもと「脳脊髄液減少症の診断・治療法の確立に関する研究」が開始されました。患者数が多いながらも疾患そのものが病気と認定されなかった時期があったりした時期もあり、長い期間病気と向き合ってきた方からすれば、ブラッドパッチ治療の保険適用は、悲願達成のひとつとも言えるかもしれません。
脳脊髄液減少(漏出)症に限らず、このような状況下にある疾患と患者さんは一定数いらっしゃいますが、社会的に見ればマイノリティと括られるほどの母集団であることは事実です。だからこそ、必要な支援がなかなか行き届かないという現実もあります。「まさか自分が」という状態は誰にでも起こりうること。こういったニュースの発信が、認知拡大の一助となれば幸いです。