厚生労働省は5月13日、ハローワークを通じて就職に至った障害者の就職件数が5年連続で過去最高を更新し、84,602件(対前年度比8.6%増:前年度77,883件)となったことを発表しました。新規求職申込件数は179,222件で対前年度比5.7%の増、就職件数は84,602件で同8.6%の増となったことも合わせて発表されています。
発表された内容を抜粋してご紹介すると、産業別では、「医療・福祉」(29,453件)、「製造業」(11,373件)、「卸売業・小売業」(11,360件)の順に就職件数が多くなっており、障害種別で整理した場合にも同じような割合で就職している結果が出ています。「医療・福祉」に関しては、対前年度比20.7%増と大きく増加した結果が導き出されています。
職業別では、「運輸・清掃・包装等の職業」(28,556件)の割合が大きく、「事務的職業」 (17,251件)、「生産工程の職業」(10,719件)という順に就職しており、身体障害者については「事務的職業」の割合が、知的障害者については「運輸・清掃・包装等の職業」の割合が、他の障害種別に比べて高い状況が浮き彫りになっています。
平成26年度の就職件数において、精神障害者の就職件数は34,538件で前年度から5,134件増え、身体障害者の就職件数を大幅に上回る結果となりました(身体障害者は28,175件で前年度から132件減)。精神障害者の就職率は約47%で身体障害者の約43%を超える水準を示しており、平成26年度の集計結果では、精神障害者の就職件数が特徴的な数値を示していると言えます。ちなみに知的障害者は18,723件の就職件数であり、約58%の就職率です。
解雇者数は1,192人と前年度よりも減っており、就職件数が増え、解雇数は減ったという、障害者雇用の世界にとってはポジティブな結果が出たと言えます。ただ、障害者雇用における法定雇用率2%に対し、平成26年度の実雇用率は1,82%であり、まだまだ障害者を採用していかなくてはいけない数字的な背景があることも事実です。今回、過去最高を更新したハローワーク経由の障害者の就職件数が数字にすべて反映されるのは、平成27年度の実雇用率になりますが、法定雇用率を達成するためには、より積極的に障害者雇用を進めなくてはなりません。
多くの障害者が働きやすい社会を作り、働く障害者一人ひとりがそれぞれ与えられた自分の役割を全うし、価値を生み出す。企業側に努力を求めることも大切ですが、働く障害者の背中が、障害者雇用への前向きさを作り出すこともまた真実かもしれません。
(参照)
●厚生労働省プレスリリース|平成26年度ハローワーク経由の障害者の就職件数について(2015.5.13)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000084722.html
●厚生労働省プレスリリース|平成26年度障害者雇用実雇用率について(2014.11.26)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000066516.html