昨年6月に公布された改正労働安全衛生法によって、ストレスチェックと面接指導の実施等が義務づけられました。これは今年の12月1日より施行されます。常時働いている労働者に対して、年に1回ストレスチェックを行うことが事業者としての義務となり、また、高ストレス状態と評価を受けた労働者から申し出があった場合は、医師による面接指導を行うことも事業者の義務となります。ただ、従業員数50人未満の事業場は当面努力義務となります。言い換えれば50人以上の事業場は義務化されるということです。
とは言っても、50人未満の事業場はストレスがかかりにくい状態であるとは言い難く、義務化されていないからといってストレスチェックをしなくてもよいというわけではありません。今回支給申請が始まった「『ストレスチェック』実施促進のための助成金」は、従業員のメンタルヘルスの不調を予防するために、従業員数50人未満の事業場が合同でストレスチェックを実施する際に活用できる助成金です。ストレスチェックを行う際には産業医や保健師の手を借りる必要がありますが、企業規模の小さい会社が顧問のように契約を結ぶのはなかなか難しいものがあります。そこで今回の助成金のように、小規模事業場の集団(例:3社合同)でストレスチェックを行いませんか?というアプローチは効率的かつ有意義なものではないでしょうか。
助成金なので、申請にやや手間がかかるのは仕方がないことですが、助成金支給申請前に、支給要件を満たしているか確認のため、労働者健康福祉機構への届出が第一歩となります。
(届出の要件)
●常時使用する従業員数が50人未満であり、同一の都道府県内にある複数(2〜10)の小規模事業場を含む事業場で集団を構成していること。
●集団を構成する小規模事業場の事業者が産業医を合同で選任し、ストレスチェックに係る産業医活動の全部又は一部を行わせること。
●ストレスチェックの実施者及び実施時期が決まっていること。
●集団を構成する全ての小規模事業場において、ストレスチェック及び面接指導を行う予定であること。
●集団を構成する小規模事業場の代表者と産業医(合同選任産業医)が同一者でないこと。
※独立行政法人労働者健康福祉機構の該当ページより部分抜粋
ブラック企業、過労死、新型うつなど、労働現場におけるメンタルヘルスに影響を与えそうなネガティブな言葉は毎年のように生み出され、その多くが納得できてしまうものです。雇う側、マネジメントする側が、従業員のメンタルヘルスを守ることは当たり前の世の中になりつつあります。せっかくであれば助成金を活用し、自社のコストを抑えながら、従業員を守ることは理に適っていると思います。今年12月のストレスチェックの義務化によって、人事・労務系の担当者はこのような情報を仕入れていくことも重要な仕事になっていくでしょう。
(参照)
「ストレスチェック」実施促進のための助成金|独立行政法人労働者健康福祉機構
http://www.rofuku.go.jp/sangyouhoken/stresscheck/tabid/1005/Default.aspx
「ストレスチェック」実施促進のための助成金|こころの耳
http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html#head-4