ストレスについてイチイチ考えてみたら見えてきたものとは何か?【Plus-handicap Lab #1イベントレポート】

皆さん、こんにちは。心の健康を守るナースこと杉本九実です。
 

2014年6月7日、Plus-handicap初の試み、専門家ライターによる勉強会「Plus-handicap Lab #1ストレスについてイチイチ考えてみる~ストレスってないほうがいいの?あってもいいの?」を開催しました。
 

なぜこの勉強会をやろうと思ったのか。それは、私が保健師として活動しながら、いろいろな方のストレスや心の問題と向き合っていくうちに、ストレスを上手に飼いならせずに、逆に操られてしまっている人があまりにも多いと感じたことがきっかけです。実は私もストレスに操られ、心も体も病んでしまった当事者でしたが、いろいろ勉強していくうちに、ストレスを悪者にしていたのは自分自身だったということに気付きました。ここはひとつ、ストレスのことを冷静に考えながら、自分にとってストレスとは何なのかを考える機会を作りたいと思い、企画しました。
 

写真暗いですが、熱弁中です。
写真暗いですが、熱弁中です。

 

勉強会では、ストレスの良し悪しや医学的保健的見地、ストレス分析など様々な角度から「ストレス」について参加者の皆さんと一緒に考えてみました。その結果、見えてきたものとは?今回はそのレポートをお送りします。
 

ストレスは悪いところばかりじゃない

 

まず、私自身がストレスによって心も体も病んでしまった過去を事例として紹介した後、参加者の皆さんには自分自身が考える「ストレス」とは何かを洗い出してもらいました。ストレスの良いところ・悪いところを書き出し、グループで話し合いました。
 

一般的にはストレスは悪いものという認識が強くあるので、「無気力になる」・「体調が悪くなる」・「ミスが多くなる」などといった、悪いところはたくさん出てきます。一方で、ストレスの良いところも予想以上に挙がっていました。
 

「緊張感を持って行動できる」
「集中力が増し、新たな能力を引き出せる」
「成長するための機会が得られている」
「生きていると実感できる」
 

確かに、テスト前や締め切り間近の仕事があると自分でもびっくりするくらいの集中力や緊張感を発揮しますよね。それによって困難な状況も何とか乗り越えることができ、達成感を味わった経験は誰にでもあると思います。
 

ワーク1
 

このワークでのポイントは、ストレスは良いところも悪いところも両方あるということにどれだけ気付くことができるかにありました。人はどうしても自分にとって不快なことや嫌なことに目がいきやすいですが、良い側面も確かに存在していて、自分が助けられていることもあると自覚できれば、ストレスに対する悪いイメージを和らげることにつながります。そしてここがストレスを飼いならすための第一歩になるのです。
 

自分のストレスを知ると相手のストレスも理解できる

 

参加者の皆さんのワーク中、私はおもしろいなあと感じた瞬間があります。それは、お互いのストレスへの認識に共感性が生まれていたことです。ワークの後半、最近ストレスと感じた出来事をたくさん挙げてもらい、グルーピングしてストレッサー(ストレスの原因)の分析を行いました。ある人がストレスと感じた出来事を発表すると、「あー分かる!イライラしますよね。」とか、「そういうときってどういう行動しますか?」など、“共感性から生まれる、相手を理解しようとする雰囲気”が自然と生まれていました。
 

実はこの現象にこれからの新しいストレス予防の形が表れていると考えています。ストレスは心の問題に直結してくることが多いため、どうしても一人で抱え込んだり、一人で発散する方法を見つけたりしがちです。ですが、自分のストレスをまず知って、それを他者に思い切って開示することで、「意外と自分だけが感じているんじゃないんだ」・「同じようなことでみんな悩んでいたんだ」と思えるようになります。すると、自分以外の相手のストレスも少しずつ理解できるようになるので、不必要なストレッサーをつくらないようにするためには環境や関係をどう構築すればいいか、みんなで考えるようになるのではないかと思うのです。
 

一人でストレス予防をするのではなく、みんなでストレス予防をする。そんな世の中になればストレスによる生きづらさも少しずつ消えていくと思います。
 

ものの「見方」を変えることでストレスは「味方」になってくれる

 

前回の記事「ストレスを嫌なヤツにしているのはあなた自身。ストレスってないと死んじゃうの。」にも書きましたが、ストレスと上手に付き合っていくためには、ストレスを飼いならす「術」を身に付けることが大切になってきます。そのためにはストレスに対するマイナスイメージをいかに和らげ、プラスイメージを見出すことができるか、これが鍵です。
 

手綱を緩ませ共に歩く。そんなイメージです。
手綱を緩ませ共に歩く。そんなイメージです。

 

ある参加者からなるほどと唸る感想を頂きました。
「ストレスはなくならないものだから、いかに強みにして味方につけるかが大切だと思いました。」
 

生きていく上でストレスがなくなることはないのです。であれば、ものの「見方」を変えて、ストレスの悪いところを減らし、良いところを見つけてその力を伸ばすことができれば、ストレスはあなたの「味方」になってくれるに違いありません。
 

ストレスを上手に飼いならす、それはあなた次第なのかもしれません。
 

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この記事を書いた人

杉本九実

1985年生まれ。順天堂大学卒の看護師・保健師。憧れだったICU看護師となるが、理想と現実のギャップ、過労、ストレスにより心身のバランスを崩し、バーンアウト状態と診断され休職。休職中に訪れた旅で自然の「ありのままに生きる」姿に感化された経験を活かし、2013年PONOプロジェクトを設立。「ストレスやこころの病気を自然の中で楽しく予防しよう!」をコンセプトに、自然の力と看護スキルを活かした今までにない新しいメンタルヘルス事業を行う。