アトピーの人は、「働く」ことに悩みを抱えている

皆さん、こんにちは。
今日はアトピーと仕事について書こうと思います。
 

—アトピーにより仕事を3回断念
 

私は生まれつきのアトピーで、27歳になった現在もアトピーに悩まされていますが、これまでの人生でアトピーの悪化が原因で仕事を続けられなくなった事が3回あります。いずれも過労やストレス、食生活の乱れ、埃や乾燥といった外部環境が積もり積もって、自分の許容範囲を超えたことが原因でした。
 

私の場合、ステロイドやちょっとしたケアでアトピー症状を抑えられるのですが、許容範囲を超えた途端、症状が短期間で急激に悪化してしまうのです。じきに動けなくなり、数ヶ月間殆ど寝たきり生活を送るようになります。
 

大学生の頃からビジネスの世界に興味があり、大学4年生のころから仕事中心の生活を送り始めた私にとって、仕事に夢中になりたくても出来ないというのはすごく辛いことでした。やりたい事が色々あって、そのチャンスも掴んだのに、体がついて行かないと言うのは、中々容易に受け入れられる事ではありません。それまでは好きなだけ働けていたという経験があるからこそ、尚更そう出来ない現実が苦しく感じるのだと思います。
 

そんな経緯で、これまで「私ってなんて可哀想なのかしら!」と思っていたのですが、アトピーと向き合い始めてから、私だけでなく、他にも同じ悩みを抱えている人が大勢いることを初めて知りました。そして、その現実を知れば知るほど、「もう嘆いている場合じゃない、どうにかしなくちゃ!」という思いに代わっていきます。
 

アトピー

 

—アトピーケアと仕事の両立の難しさ
 

私もそうですが、多くのアトピー患者は、アトピーケアと仕事の両立にすごく難しさを感じています。アトピーが深刻になればなるほど日々気をつけない事が増えますが(規則正しい生活、バランスのとれた食生活、十分な睡眠など)、忙しく働く社会人にとって、この両立はなかなか難しいものがあります。
 

もちろん、アトピーレベルはひとそれぞれなので、これに当てはまらない人も大勢いますが、日常生活に支障がでているレベルの人は、少なからずアトピーの悪化によって働けなくなるリスクを負いながら社会生活を送っています。
 

—両立するには多角的なアプローチによる改善が必要
 

最近ではアトピーの悪化によって仕事の継続が難しくなると、休職扱いにしてくれる会社が少しずつ増えてきているようです。ただ回復にどれ位かかるかという目安が曖昧なので、会社としても判断が難しいのが現状でしょう。
 

この問題に対して、私たちアトピーの人は、仕事する上で発生する可能性があるリスクをもっと意識し、どのように働いていくか考える必要がありますが、それと同時に、意識以外にもアトピーケアと仕事が両立できない要因を減らすための工夫や環境・仕組み作りが今よりもっと必要である、というのが私の持論です。
 

まだまだ世間的には「アトピーが治らないのは、結局本人の意識・努力不足が原因なんじゃない?」と思われがちです。確かにそれも一理あるでしょう。ですが、背景には努力をしようにもどう努力すれば分からない、又は継続して取り組める環境がないといった問題があります。この問題を解決するには、既存のサービスややり方では限界があるということを受け止め、真剣に考える必要があると思っています。
 

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この記事を書いた人

野村千代

1986年生。法政大学卒。日本と韓国のハーフで、韓国系の貿易会社、EC会社に勤務した後、2012年にフリーランスとして独立。1年程韓国と日本でスタートアップ・ベンチャーのローカライズ事業を展開するが、持病であるアトピーの悪化により数ヶ月療養生活を送る。自身のアトピー経験から、現在はアトピー患者の為のウェブサービスuntickle(アンティクル)を立ち上げる。アトピーの人が気軽にかつ継続してアトピーと向き合える仕組みづくりに取り組んでいます。