「生きづらさ」と「働きづらさ」を解消する原稿づくり

障害があっても人生を充実させているひともいれば、後ろ向きな気持ちで暮らしているひともいる。その境目はどこにあるんだろう。なぜ生まれているのだろう。
 

そんな問題意識を原点に「生きづらさ」というテーマでコラムサイトを運営したり、執筆活動をしたり、学校や企業で講演やセミナーを行ったり。発信という活動を通じて、その境目を見つけようとしているのが一般社団法人プラス・ハンディキャップです。
 


 

代表の佐々木一成は、新卒で入社した会社で、企業の社員研修の企画や運営を担当した後、講師デビュー。独立後は企業の障害者雇用のサポートをしつつ、WEBメディアの編集長やライター業をナリワイとしています。
 

当の本人は義足を履く障害者でもあり、冒頭に書いた問題意識は、代表自身の問題意識です。
 

「僕の場合は障害という自分の特徴から生きづらさについて考え始めましたが、LGBT・ひきこもり・難病・貧困など、いろいろなテーマから考えることはできます。もちろん、障害者と対になる健常者といわれるひとにだって生きづらさはあります。生きづらさってなぜ生まれるんだろうと一緒に考え、整理し、発信してくれるひとを探しています。」

 

今回募集するのはライター。
 

自分が伝えたいことを論理と感情を切り離して書く。相手が伝えたいことを汲み取って、分かりやすく整理する。このふたつが大きな仕事となります。
 

「僕がこの仕事を始めたときはライター経験ゼロでした。よく始めたな、無鉄砲だなと今では感じます。完全に若気の至り。ゼロからのスタートだと大変かもしれないけど、向上心とアドバイスを素直に聞く姿勢さえあれば、少なくともウチではなんとかなる(笑)。独立して一人で食べていくなら、もうちょっと頑張らなきゃ無理だけど。」

 

ライターは簡単な仕事ではないけれど、そもそも仕事に簡単なものなんてあるんだっけ?2,3日でマスターできる仕事なんてありません。
 

自転車に乗れるようになるために何度も転んだり、クロールの息継ぎができるようになるために何度も溺れかけたり。仕事も同じだよねということにハッと気づかされました。
 


 

東京、神保町のシェアオフィス。一応、職場はここ。一応。
 

「一応」と書いたのには理由があって、毎週火曜日にしかメンバーは集まりません。基本は在宅勤務。仕事の仕上がり、出来映えにさえ責任をもってくれれば、就業時間も就業場所も身だしなみも自由です。
 

「朝9時に満員電車に乗って出勤。心身に疲労が溜まっているのに朝から満員電車に乗る。夏だと熱中症の心配があるのにスーツを着る。朝型人間もいれば夜型人間もいる。みんなが同じ働き方であることに常々疑問を持ってきました。自分のパフォーマンスが一番発揮できる環境はどこか、なにかを自問自答しているひとと一緒に働きたいです。」

 

実は、この働き方は障害者雇用の世界を見てきて確信できたそう。車いすユーザーが満員電車に乗れるのか、勤怠に不安が残るひとが、なぜ決められた時間・場所に毎日通勤しなくてはならないのか。
 

自分の働きやすさを追求できる職場があれば、もっと仕事で成果が上げられるはずという確信のもと、プラス・ハンディキャップは一人ひとりに合った働き方を模索しています。
 

「障害、病気、うつ、奥さん妊娠中、婚活中など、いろんな背景をもつひとたちと一緒に働いてきました。失敗事例も成功事例もたくさんあって、やっとそれぞれのひとたちにどんな配慮が必要なのか、どんな働き方だと楽なのか、イメージが湧いてきました。「普通の会社だと働けるかちょっと心配」というひとほど、ウチは合っている気がします。」

 


 

生きづらさをテーマにした団体だけあって、過去から今まで、たくさんの「当事者」の方々とともに働いてきたといいます。そこから生まれたのは「配慮はするけれど遠慮はしない」という文化です。
 

「働く上で生じる困りごと。例えば、ADHDだからマルチタスクが苦手とか、妊娠初期段階だから体調が安定しないとか。僕から一緒に働くメンバーにたくさん質問するし、何を言ってもOKだよと伝えています。厳しい言い方をすれば、それぞれが抱えている困りごとを工夫と改善で全部解消できれば、それぞれがほぼ不自由なく仕事に向かえると考えています。全部ってなかなか難しいですけど。」

 


 

「配慮が行き届けば、仕事で成果を求めることに遠慮せずに済む。何でも相談できる、何でも言い合える、弱みを見せられる。そんな環境をどう作っていくかが僕の役割ですね。」

 

困りごとを全体でシェアすることで、メンバー同士が互いに配慮し合う職場を作っていく。強みを活かすというより、弱みを共有し、補うという職場風土は、生きづらさを抱えたひとの働きやすさにつながるのかもしれません。
 

しかし、職場に自分の困りごとや弱みを打ち明けることは、なかなか難しいことなのではないでしょうか。
 

「職場自体が安心・安全・信頼といったものでなければ打ち明けられません。この職場を作ることが代表である僕の仕事だし、先輩メンバーに協力してほしいこと。そのうえで打ち明けてくれるかどうかは個人の選択です。環境づくりはめちゃくちゃ頑張りますけど、自分がサポートしてほしいことを言ってくれないと周囲がサポートはできない。察してほしいなんて個人のワガママだと思う。この意見は曲げられないし、納得できないひとはウチには合わないと思います。」

 

厳しいけれど、真っ当。うわべだけの優しさではないところが、この職場のあり方なのかもしれません。
 


 

今回、募集するライターという仕事。実際にライターとして働く森本さんに聞いてみると、
 

「メンバーに依頼されるのは、自社で運営している「Plus-handicap」で自分が言いたいことをコラムにするのがひとつの仕事。もうひとつは最近スタートした障害者を雇いたいという企業の想いを届ける原稿を書く仕事ですね。少し前まではパラスポーツに関するコラム、新聞への寄稿コラムなども書いていました。時が経つにつれて、いろんな原稿依頼が飛び込んでくるようになります。消えていく仕事もあるんですけど(笑)。」

 

自分の部屋にこもって、自分と向き合いながら原稿を書くこともあれば、取材先にカメラとICレコーダーを持って取材して原稿を書くこともある。そのやりがいは何なのだろうか。
 

「自分が書いた原稿が世の中に出ていくのは率直に嬉しいです。SNSやブログなどは自分でできますけど、メディアからOKが出て、取材先からもOKが出る原稿は、自分のためではなく、相手のためのもの。自己満足ではなく、他者貢献の原稿が世に出るのは簡単にできるものじゃないので、そこが一番のやりがいかな。」

 

森本さん自身も、発達障害を抱えながらライター業に取り組み、現在は編集業まで任されるようになったそう。「障害への配慮に親身になってくれるぶん、仕事には厳しいので、こってり絞られながらここまで来ました」と笑顔で話してくれました。
 


 

最後に、代表にプラス・ハンディキャップで働くひとの共通点を聞いてみると、
 

「自分と向き合うひとが多いです。どうすればもっと楽に仕事ができるかなあとか、そういう方向で(笑)。あとは自分のために仕事をしているひとですね。知らない世界を知りたいとか、お小遣い稼ぎたいとか。社会をよりよくしたいんだ!みたいな熱いひとほどウチは向いていないです。自分のやりたいことの5つか10個先くらいに、社会が良くなる何かにつながるとラッキーだよねくらいがちょうどいい。」

 


 

「個人的な考え方ですけど、法人としてのミッションやビジョンは経営陣が背負えばいい。メンバーは自分の仕事ややりたいことをどんどんやってもらえばいい。そこは一枚岩というより、分業しつつ連携しつつくらいのバランスがお互いにとって無理がない。このちょうど良さを大事にしたいです。旧き良き会社で見かける理念の唱和、右向け右!みたいなことは僕にはできません。」

 

法人としての一貫性を保ちながら、働くメンバーの多様性を認めていくには、役割の中での分業制というのが適切なのかもしれません。ここまで割り切って考えられるからこそ、様々な背景を抱えたひとたちが働くことができているのではないでしょうか。
 

「障害のある方がメンバーとして働いてくれることが多いのですが、障害のことに関わらず、まだ自分が気づいていない、自分の内面や可能性を知ろうとするひとほど、毎日楽しそうに生きている気がします。反面、自分のことは分かっている・理解していると考えているひとほど、頑固になって自分の殻を破ろうとしないんじゃないかなと思っています。私はこうだから…みたいなものが強すぎて。自己理解65点くらいのひとと働きたいです。可能性のかたまりだと思います。」

 

 

募集職種

ライター/編集アシスタント

仕事内容

  • WEBメディア「Plus-handicap」の原稿執筆、編集アシスタント
  • 障害者雇用に関する求人原稿の取材、執筆のフォロー業務

雇用形態

有償インターン/アルバイト

勤務地

オフィス: 東京都千代田区神田神保町

※在宅でもOK。

勤務時間(出勤時間)

毎週火曜日13時〜19時

※上記時間以外は、基本的には在宅での作業となります。

給与

基本時給1000円(入社時) プラス原稿執筆料。

※執筆料につきましては経験とクオリティによって変動します。

休日休暇

勤務時間以外は自由時間なので、定まった休日休暇はありません。

福利厚生

各種保険

応募資格

  • ・SNSやクラウドツールで仕事のやりとりができるひと
  • ・職場への通勤、決まった時間での仕事にこだわりがないひと

求める人物像(3点まで)

  • 他者からのフィードバックに対して、素直に受け止められるひと
  • 常識や当たり前を疑うことができるひと
  • 過程ではなく成果にこだわりをもてるひと

選考基準(3点まで)

  • 事実と感情を切り分けて考えることができるかどうか
  • 自分自身のことを素直に伝えられているかどうか
  • 一般的な働き方とは違う働き方に対応できるかどうか

選考プロセス

  • エントリーいただいた後、エントリーシートを送付します。
  • エントリーシートの内容を確認し、選考に進んでいただきたい方にはご連絡。
  • その後、面接(1回〜3回)を経て合否が決まります。

メッセージ

どういう職場環境だと生きづらさや働きづらさを抱えずに済むか、という逆算から求める人物像や選考基準を設定しています。副業・複業、在宅ワークといった働き方改革に準じていると言えるかもしれません。

腰掛け、掛け持ち大歓迎です。ちょっと手伝ってみようかな、くらいのテンションでよろしくおねがいします。
 

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