見る者の価値観を根底から覆す。劇団態変12年ぶりの東京公演。

1983年の旗揚げ以来、30年以上身体障碍者による身体表現を続けてきた「劇団態変」が、このほど12年ぶりに東京公演を行う。演目は、2014年に大阪で初演された「ルンタ(風の馬)〜いい風よ吹け〜」。政治・経済・モノ・情報……の中心でありながら生の実感が希薄な東京に「いい風を吹かせたい」と意気込む劇団主宰の金滿里さんに話を聞いた。
 

2014年10月17日「ルンタ(風の馬)〜いい風よ吹け〜」初演(撮影:中山和弘)

2014年10月17日「ルンタ(風の馬)〜いい風よ吹け〜」初演(撮影:中山和弘)


 

劇団態変は、団員全員が身体障碍者。身体の輪郭が浮き出るレオタードに身を包み、セリフは一切用いない「抽象身体表現」を一貫して続ける。金自身も3歳でポリオに罹患し、全身麻痺の重度身障者だ。障碍者解放運動から一転、芸術の世界に身を移して以来、劇団の芸術監督としてほぼ全作品の作・演出を手掛ける。
 

「ルンタ(風の馬)〜いい風よ吹け〜」は、物質文明とは対局にある人間の精神性をチベットの人々の生き方に求めた作品。チベット民族楽器等の生演奏と、タンカ(チベット仏画)絵師による絵画が舞台を彩る。進歩・発展の象徴とされる東京で、行き詰まった既存の価値観や生き方を問い直す。初演の大阪では、「身体表現だけでここまで言いたいことが伝わるのか」と金自身が驚くほど、観客からの反応は大きかった。
 

公演写真(撮影:中山和弘)

公演写真(撮影:中山和弘)


 

この30年、アフリカのケニアを始め、ヨーロッパ、アジア各地で公演を行い、その芸術性の高さを評価されてきた。しかし、こと日本においては未だに「障碍」がクローズアップされる。「だから絶対に『障碍者の劇団』とは名付けないようにしていて、障碍者アートなどとは一線を引いています」
 

脚がなくてもお尻を使えば歩けるのに、社会では健常者の目を気にして義足を履き、「健常者風」に歩かなくてはいけない。しかし、実は「障碍的な動き」の方がダイナミックで、その動きこそが態変の表現となる。態変においては、障碍は重ければ重いほど良い。態変の身体表現は、今も世にはびこる優生思想を根底から覆す。
 

「芸術に関わっている人には特に見てほしいし、身体表現をやっている人には『既存の身体表現はこれでいいのか』って思ってほしい。人生に悩んでいる人とか、いろいろな方に見ていただきたいですね。態変の舞台は、思わず命が丸ごとぼろっと出てくるような舞台なんです。命ってなんやねんというのは人それぞれですが、これほど命をダイレクトに感じられる身体表現や芸術はそんなにありません。態変の表現に触れたら、芸術観がぶっ飛ぶか、より芸術が深くなるか。そういう可能性にかけています」
 

公演は3月11日(金)から13日(日)まで、東京の「座・高円寺1」にて開催。公演中、金滿里と小説家・田口ランディとのアフタートークも。詳細は下記の通り。
 

劇団態変 2016年3月東京公演「ルンタ(風の馬)〜いい風よ吹け〜」
作・演出・芸術監督 金滿里
音楽 山本公成withコズミックトリオ
絵画 ウゲン・ナムゲン(チベット仏画師)
出演 金滿里 小泉ゆうすけ 上月陽平 下村雅哉 向井望 山口幸恵 国頭弘司 松尾大嗣
公募エキストラ10名
 

日時
3月11日(金)19:00
3月12日(土)13:00★/19:00
3月13日(日)13:00
※受付は開演の1時間前、開場は30分前
※★の回は公演終了後、金滿里と田口ランディ(小説家)とのアフタートーク有り
 

会場
座・高円寺1
TEL 03-3223-7500
東京都杉並区高円寺北2-1-2(JR高円寺駅北口から徒歩5分)
 

チケット
一般4,000円 学生3,000円 シルバー3,500円
※前売・当日共に同価格、全席自由
 

チケット取扱(発売中)
態変officeイマージュ
TEL・FAX 06-6320-0344
E-mail taihen.japan@gmail.com
HP http://www.ne.jp/asahi/imaju/taihen/
 

座・高円寺チケットボックス(月曜定休)
TEL 03-3223-7300(10:00〜18:00)
窓口 10:00〜19:00
HP http://za-koenji.jp/

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