日本で暮らす許可を持っていない子どもたち

11月25日、日本外国特派員協会にて、特定非営利活動法人APFS(Asian People’s Friendship Society)の代表理事を務める加藤丈太郎さんと非正規滞在の子ども2名による記者会見が行われました。会見は「日本における在留資格のない子どもたち」がテーマでした。
 

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日本に非正規滞在している(在留資格を持っていない)親のもと、日本で生まれた子どもは、生まれたその日から法を犯していることになります。日本では、日本のどこで生まれたかではなく、日本人の血が入っているかどうかという点で国籍を決めるため、非正規滞在の親から生まれた子どもも非正規滞在になってしまうのです。また、親とともに来日した後、在留期限を超過して滞在をした子どもも非正規滞在となります。今回会見に臨んだ2人の子どもは、それぞれのケースに当てはまっています。
 

会見では「子どもたちに在留資格を認めてほしい」という加藤さんのメッセージを皮切りに、在留資格を持っていない(=非正規滞在である)2人の子どもたちのリアルな声が伝えられました。
 

現在、専門学校に通うフィリピン国籍の男性は「介護福祉士の資格を得るために学校に通っているけれど、在留資格が下りなければ資格を持っていても働くことはできない」と語り、在留資格がないことで就職できない現実、その現実が待ち受けているからこそ駆り立てられる不安を吐露してくれました。
 

また、都立高校に通うイラン国籍の女性は、保険証が発行されないため通院が費用的に難しいこと(全額負担)、仕事することが許されているわけではないため生活が厳しいことなどを説明し、苦しい環境下でも育ててくれた母親に親孝行したいという気持ちを語ってくれました。
 

会見当日の配布資料
会見当日の配布資料

 

「この2人には、法務省−入国管理局から、親が帰国することを前提に子どもにだけは在留資格を出す旨が示唆されたが、日本で生活し続けてきた親子の関係を引き裂く指示に対して、簡単に首を縦に振ることはできない」と加藤さんは語ります。非正規滞在は法を犯している状態だという意見は当たり前の見解ですが、日本で生まれ、ずっと暮らしてきたという事実、家族一緒に暮らしたいという想いは「法律だから」という一言で片付けられる問題なのでしょうか。
 

どうすれば在留資格が取得できるのかという明確なガイドラインもなく、未来が描けないという状況の中、日本で暮らす外国人がいるという事実。日本人とは何か?家族とは何か?という根源的な問いが投げかけられた会見でした。
 

(参考記事)
「住民票をもたない16歳の女子高生の生きづらさ。ー非正規滞在外国人当事者の声を聞くー」
//plus-handicap.com/2015/10/6733/
 

「耳を傾けることからはじまるー非正規滞在外国人支援者の声を聞くー」
//plus-handicap.com/2015/11/6814/

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