平成26年度の精神障害の労災請求件数が過去最多

過労死、自殺、うつ、怪我、障害など、「働く」ことが理由で引き起こる業務上の災害が労災です。
 

6月25日、厚生労働省が平成26年度の労災補償状況を発表しました。過重労働が原因で発症した脳・心臓疾患の件数(過労死、障害等につながる)、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の件数(自殺、うつ等につながる)を平成14年から追っており、労災の請求件数や労災保険給付の決定件数をまとめています。
 

脳・心臓疾患の件数は763件の請求で277件が支給決定。これはここ4年間で減少傾向にあるものです。反対に精神障害に関する件数は1,456件の請求、支給件数も497件(未遂を含む自殺99件)とどちらも過去最多となっています。先日のニュース記事(20代より生きづらい?30代生きづらさの実情)でも取り上げましたが、30代・40代が多く請求していることが発表内容からは判別できます。精神障害というと、昨今の風潮だと「ブラック企業が」という印象を拭えない面もありますが、製造業の占める割合が多く「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」という請求の出来事分類を見ると、PTSD(心的外傷)のような原因が精神障害の労災認定には多いかもしれません。
 

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日本独特の労働環境と働き過ぎによる健康被害を表す「過労死」という言葉が英語になり、英語辞書に掲載されたのが2002年。当時から自殺に関しても報道されている部分はありましたが、なんとなく働き過ぎから来る突然死のイメージが強かったように記憶しています。現状では、数字の面から見れば、精神障害に関するものが多くなり、「過労死」という言葉が生まれてきたときと主な原因が、少しずつ時代に応じて変わってきています。
 

業種・業態によって「労災」という言葉が身近な人もいれば、縁遠いひともいます。労災請求するような状況に陥らないことが一番ですし、想定できないことを防く術はなかなかありませんが、自分の心身を守るのはまず自分だという認識をもつことが重要なのかもしれません。
 

(参照)
平成26年度「過労死等の労災補償状況」を公表|厚生労働省ホームページ(2015.6.29)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000089447.html

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