「生きづらさを抱えているひとが増えている」という文章とともに始まるこの本。「パーソナリティ障害」に関する解説書といったほうが分かりやすいかもしれません。10年以上前に出版されたものですが、2014年も終わりに近づこうとしている今読んでも、リアルに伝わってくるものです。
Plus-handicap(プラスハンディキャップ)が焦点に当てている「生きづらさ」。私たちは、自分自身では変えることのできない障害や障壁、環境や状況によって生まれるネガティブな心情(つらい、苦しい、哀しい、死にたいなど)を「生きづらさ」と捉えていますが、この本では、その発端がパーソナリティ障害にあると伝えてくれます。
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偏った行動パターンや考え方によって、日常生活や人間関係の構築に支障を来すもの。これがパーソナリティ障害だとこの本には記されています。パーソナリティ障害には「自分に強いこだわりをもっていること」と「とても傷つきやすいこと」というふたつの特徴があり、自分自身を大切にする上でのバランスをうまくとることができないとも言えるかもしれません。
生きづらさを抱えるひとが、自身の生きづらさを誰かに話すと、まったく伝わらない、理解されないということがありますが、それは上記のような背景があるからです。この差を埋めるための言葉の架け橋をうまく作らなくては、相互認識の先にある相互理解には行き着かず、生きづらさを抱える当事者たちが考える、生きやすい環境への改善提案は届かないのかもしれません。
この本では、パーソナリティ障害のタイプと対処についても記されています。境界性、自己愛性、反社会性、演技性など10種類のパーソナリティ障害の特徴と背景が紹介されていて、1種類ごとに克服のコツや接し方のコツがまとめられています。どのタイプに当てはまるかを診断できるシートまで付いているので、自分自身をカテゴライズすることも可能です。
この本を読んでいると、例えば、自分が1人では生きていけないタイプ、依存性パーソナリティ障害かもしれないと感じてしまうことがあるかもしれません。私の場合は、演技性かもしれないなと感じました。ただ、自分が◯◯性パーソナリティ障害かもしれないからといって、その振る舞いを誰もが許してくれるわけではありませんし、誰もが理解してくれるわけでもありません。自分自身が傾きやすい考え方や行動パターンを知ることによって、セルフコントロールできるようになることが大事なのだと思います。また、自分が◯◯性だからと囚われすぎるのも、かえって逆効果になります。
自分自身が何の問題もなく、ネガティブなストレスもなく生きている場合には、考える必要はないでしょう。ただ、なんとなく、自分自身の考え方や行動パターン、人との付き合い方に悩みを感じているひとは、この本を手に取ってみると面白いかもしれません。改善は、現状分析なくしては進まないのですから。
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