障害者雇用に関するブックレビュー。ご紹介したいのは、この本です。
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社員の7割が知的障害者であり、チョークのシェアが日本一という日本理化学工業の会長さんが執筆された本です。
会長の大山さんは、元々福祉にはまったく関わったことはなく、大学卒業後の23歳の時、創業者であるお父様から事業を継続されました。その後、特別支援学校から職業体験を受けることになったことで知的障害者との関わりがスタートします。
最初は、大山さんも知的障害者に対して、さげすむような気持ちがあったようです。しかし、職業体験後、一生懸命働く姿から社員が「一緒に働きたい」と進言され、「社員が面倒をみてくれるなら」という気持ちで雇用を決めます。
満員電車にも負けず通勤し、一生懸命に働く姿をみて、「施設にいれば楽に過ごすことができるはずなのに、つらい思いをしてまでなぜ工場で働こうとするのか?」という疑問を抱きます。ある時、法要でご住職が目の前に座られ、無言ではつらいので、ついこの疑問を話してしまったそうです。そうするとご住職はこのようにお話になったそうです。
「人間お幸せは、ものやお金ではありません。人間の究極の幸せは、次の4つです。その1つは、人に愛されること。2つは、人にほめられること。3つは、人の役に立つこと。そして最後に、人から必要とされること。障害者の方たちが、施設で保護されるより、企業で働きたいと願いのは、社会で必要とされて、本当の幸せを求める人間の証しなのです」
このお話から大山さんは知的障害者を中心にした企業を実現することにしました。しかし、その後もたくさんの問題が降り掛かります。
この答えはぜひ本を読んでみてください。
私はこの本を読んで、経営の本質に触れました。住職の「人間の4つの幸せ」のお話もそうですが、それ以上に「障害者に合わせることは誰もが幸せになれる」ということです。
例えば、知的障害者だけで稼働させる生産ラインは、誰もがわかりやすい生産ラインとなっています。結果として、日本理化学工業では、ある商品の組み立ての仕事において、大手メーカーの健常者社員と同じ生産量で、不良品率では勝るという結果を出しています。働く人に合わせた生産方法を考えるということは、作業効率が高まり、生産性が上がるのです。
企業を見てみると、人に合わせるのではなく、業務に人が合わせることが多い印象を受けています。その結果、生産性が上がらない。にもかかわらず、生産性が上がらないことを社員のせいにし、売上も上がらなくなる。
しかし、社員、人を理由に業績が上がらないということは、言い訳以外の何ものでもないことを日本理化学工業は証明しています。前述のように、誰もがわかりやすい業務設計を実現した日本理化学工業は素晴らしい結果を残しています。業務設計の基準を障害のある人に合わせていくことは、企業にとってメリットがあることなのです。
「障害者は働けない」「言うことを聞けない」という一般常識からすると難しいことです。確かに簡単なことではありません。しかし、日本理化学工業では実現させています。この本を読んで、「経営の本質」に触れてみてほしいと思います。
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