結婚、出産、育児、介護など家族の問題に由来して、働くにあたって時間的な障壁が存在している方々はたくさんいらっしゃいます。自身のメンタルの問題によって、働くにあたって精神的な困難さを抱えている方もいれば、生活保護を受給していることによって、働くことが制限されている場合もあります。生きづらさと働きづらさは切っても切れないものです。
働きづらさを抱えている多くの方は「働けるものなら働きたい」と考えています。ただ、働きづらさを抱えていないひとと比較すると、自分自身の意思や意向に従った自由な選択がなかなかできないため、イライラが溜まったり、モヤモヤが募ったりとネガティブな感情が引き起こされます。そんな方々にオススメの本が『ビジネスモデルYOU』です。
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「自分で自分を経営する」という観点に立って、自分自身のやりたいことやできることを整理してみようというのがこの本です。本の帯には「あなた自身をビジネスモデル化する」という難しい言葉が書いてありますが、「あなたは社会でどのように役に立ちたいですか?」というような問いかけに対する答えを考えていく本です。
経営といえば、会社経営がすぐに連想されますが、「自分で自分を経営する」というのは、自分自身を会社に見立てたとき、1日24時間という限られた時間の中で、自分自身がどのような仕事をし、どのような役割を担い、どのような役に立っているかを考えながら、自分の収入と支出のバランスを見て、今と未来の生活を組み立てることをいいます。もっと役に立ちたい!収入を増やしたい!と思えば、スキルアップや資格取得、出世や転職を考える必要がありますし、フルタイムで働けない、支出を減らしたいという悩みがあれば、働き方やお金の使い方を見直さなくてはいけません。これは会社経営でいう投資やコストカットと似ています。
働きづらさを抱えているひとは、何かしらの制限がかかっているから働きづらい。経済的、精神的な問題もあれば、障害や家族などの問題もあります。限られた時間やお金、自由には動けない障害や精神、その状況下で働くのであれば、「自分で自分を経営する」という経営者視点を持つことは非常に有益です。
キーアクティビティやチャネルといった聞き慣れない言葉も登場してきますが、その言葉を細かく理解する必要は実はありません。
・誰の役に立ちたい?:顧客
・あなたはどんなひと(性格や価値観)?どんなスキルや資格がある?:キーリソース
・自分に協力してくれるひとは誰?:キーパートナー
というように本の中から飛び出してくる問いかけに答えていけば、写真のように図が埋まっていきます。問いかけに答えれば「なんとなく」自分がやりたいことやできることが見えてきます。「なんとなく」見えることが実は大事で、「明確に」見える必要はありません。働きづらい/働きづらくないに関わらず、自分のやりたいことやできることが「明確な」ひとは稀です。「なんとなく」見えるだけでも貴重なことです。
働きづらさを抱えているひとの場合、その原因によって引き起こされる様々な問題によって、自分自身のことを考える時間が非常に少ないです。また、変えられない現実や外部環境などに対するイライラから、冷静に自分自身と向き合うことが難しいことも想定できます。5分でも10分でも、自分自身のことを集中して考える時間が取れるだけで、その先の未来は変わります。ただ自分の頭の中だけで考えるのはなかなか難しく、邪魔も入ります。そんなとき、本の力や写真のような図の力を借りるだけで、スムーズに進めることができるのです。
この本のいいところは、「ビジネスモデルキャンバス」とgoogleで検索すれば、一番上に表示される「【PDF】ビジネスモデルキャンバス」をクリックするだけで、ほぼほぼ大事なことをダウンロードして読めることです。それも無料で。「この本、難しすぎ。無理。」と思えば買わずに済むのは非常に便利な話です。(Creative Commons 3.0 のおかげです)
また、本の中でたくさんの方が事例として取り上げられていますが、そのほとんどは成功者の類に入るひとです。この本に出てくるほとんどのひとを嫉妬してしまいますが、人生を謳歌しているひとほど、自分自身のことをよく考え、常人では考えられないほどの努力をしています。嫉妬する気持ちは仕方なくても、その努力の賜物が今なので、恨む道理はありません。
働きづらさを抱えていたとしても、自分自身で解決できる問題については、その解決に自分が努力しないかぎり、何の改善も生まれません。自分自身で努力をしないのならば、上は見ないほうが幸せなのかも、そんな気持ちにさえなってしまいます。働きづらさを打破するためには自分自身と向き合い、分析し、自分の目指したい先を認識することが重要です。その上で働きづらさを生み出す原因を再確認し、どう工夫すればいいのかを導き出すことです。働きづらさを恨むのではなく、工夫を導けない自分を恨むほうが、結果的に解決策が生まれるのではないでしょうか。
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※働きたくない、働く意欲がないひとの場合は、働きづらさを抱えるとは言いにくいと考えます。