特例子会社の管理者が語る「働く障害者をサポートする」仕事の幅広さ —綜合キャリアトラストの管理者の皆さまに聞く

「障害者雇用」という言葉を聞けば、障害がある従業員がどのような仕事に就いているのか、やりがいをもって働いているのかといった、障害当事者にスポットライトが当たりやすいものですが、それを下支えする方々の助力がなければ、障害者が働く現場は成り立ちません。
 

障害者が働く現場には、必ずといっていいほど「働く障害者をサポートする」仕事が存在しています。
 

今回は、綜合キャリアグループの特例子会社である綜合キャリアトラスト社の長野センター、富山センター、上野センターで働く皆さんに「働く障害者をサポートする」仕事のやりがいと難しさについて話を伺いました。
 

※特例子会社とは、企業が障害者の雇用を進める上でつくる子会社のこと。障害などへの配慮やサポートが整備されていることが多い。
 

長野センター 横山さん


 

まず、58名の障害者社員が働く長野センターで管理者を務められている横山さんに「働く障害者をサポートする」仕事内容について伺いました。
 

管理者としての私の仕事は、全体的な業務の進捗管理、組織体制の整備、新しい仕事を獲得してくることが主に挙げられます。個々の悩みを聞き、アドバイスすることもありますし、新しく入ってきた方への仕事のレクチャーなどもあります。(横山さん)

 

業務管理、社員育成、新規営業、環境整備といった役割を引き受けながら、一人ひとり異なる障害を抱えた方への関わりを絶えず行っていくことは簡単ではありません。また、仕事のシフトに穴が空けばその穴を埋める場合もあり、臨機応変さを求められるタフな職場でもあります。
 

仕事内容別に8チームあり、それぞれメンバーが少ないところで5名、多いところで14,5名となっています。チームリーダーとして私たちスタッフが入りますが、サブリーダーは障害当事者の方に担っていただいています。チームをどう作っていくかがこれからの課題ですね。(横山さん)

 

株式会社 綜合キャリアトラスト (サイトのスクリーンショット)


 

次に、富山センターの西野さんには「仕事を通じて得たもの」について伺いました。
 

業務指示の仕方が難しいですね。曖昧な指示が苦手な方が多いので、複雑な指示が必要な場合はメールなどを使って見える化するようにしています。どういう指示だと相手が動きやすいのかを考えなくては仕事が成り立たないので、相手の立場に立って動けるようになりました。働く中で成長させてもらっています。(西野さん)

 

察する、気づく、行間を読む、空気を読む。そういった行動に指示を出す側が自然と助けられているのが一般的な職場かもしれません。周囲を見て学ぶ、経験を応用するといったことを当たり前の行動として、組織運営していることもあるでしょう。
 

しかし、障害の種類や程度によっては、その当たり前が当たり前ではなく、細やかに伝えていく配慮が必要となることもあります。「コミュニケーション上のちょっとした食い違い」はそれぞれの職場で共通して、仕事を進める上で難しい点として挙げられていました。
 

現場に入ってすぐの頃、相手との関係性ができていないのにきつく言ってしまったことがあり、業務に支障が出たことがありました。障害者だからといって、自分とは違うと切り分けずに「自分がこの人だったら」と考えて動けるようになりました。これは相手が障害者である・なしに関わらず、大切なことだと思います。(西野さん)

 

「伝わりにくさ」があるから、折り合いがつくところを探す。それは難しさ以上に、やりがいが見出されるものなのかもしれません。
 

上野センター 高祖さん


 

最後に、上野センターの高祖さんには「仕事への想い」について伺いました。
 

私はこれまで一般企業や福祉施設で働き、ここに来るまではジョブコーチとして働いていました。この職場では自分のこれまでの人生が活かされているなと感じます。それこそ、無駄じゃなかったなあと。集大成という気持ちで働いています。(高祖さん)

 

働く障害者社員の中には、自身の障害理解や受容を進めている最中の方もいれば、仕事状況や人間関係などによって心身のコンディションを崩されてしまう方もいます。そういった方々にどう寄り添っていくのか。サポートする側は人間力が試されると言えるかもしれません。
 

これまで生きてきたバックボーンが違うので、伝わらない難しさはあります。私たちの仕事は、自分と、社会の現実と、彼らの気持ちの折り合いのつくところを探っていく仕事なんです。(高祖さん)

 

今回のインタビューを通じて「働く障害者をサポートする」仕事内容とそのやりがいや難しさを伺うことができました。
 

障害の種類や程度によりますが、心身の状態が万全でなく休みがちになったり、通院などのために遅刻や早退が発生したりすることもあれば、調子のアップダウンによって、仕事の出来が左右されることもあります。
 

管理者の方々が何の工夫もしなければ、仕事の量にも質にもムラが生まれてしまい、品質や納期を守ることができなくなるおそれがあります。発注側と働く障害者側の調整役という役割まで担っていると思えば、その仕事の幅広さに頭が下がります。
 

綜合キャリアトラスト社の宮林社長は「私たちの仕事は、障害のある方のサポートばかりに目がいきがちだけど、仕事があって初めてできること。社会貢献的な意味で自然に仕事が集まるわけでもない。管理者のひとたちが動いて仕事を取ってくるんです。」と仰っていました。仕事があって初めて働く障害者のサポートができる。当たり前なようですが、障害当事者のほうばかりを見ていては、見落としがちな視点です。
 

私たちは普段、働く障害者と接している支援者の方たちの声を聞く機会があまりありません。組織を下支えする方々のやりがいや難しさを知ることで、よりよい障害者雇用の現場が増えていくのではないでしょうか。
 

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