シャーペンの芯くらいの視野しかなくても一目惚れする。恋は盲目!

「おしゃれだね」「ネイルきれいだね」「どうやって、そんなオシャレできるの?」
 

私が初対面の方によく言われる言葉です。女性として「おしゃれ」とか「きれい」と言われるのはうれしいです。でも、少し悔しい気持ちにもなります。だって「目が見えないのにオシャレできるなんて信じられない」と言われているような気がするから。そして、ほめてくれる人の心の中には「障害者はおしゃれなんてしない」「視覚障害者はおしゃれなんてできない」という考え方があるように思えてしまうからです。
 


 

視覚障害者の友達への違和感

 

私のように生まれつき視覚に障害があるひとたちは、盲学校に通います。当然、私の同級生は視覚障害者です。青春時代をともに過ごした友達とは楽しい思い出がたくさんありますが、話していて違和感を覚えることもあります。
 

違和感のひとつが、障害者の恋人は障害者が多いことです。同じ学校だから出会うのが障害者であることは当たり前だとしても、社会人になってからも障害者同士のカップルが多い気がします。これは私の感覚ですが、中学や高校の同級生と付き合って、それ以外には誰とも付き合ったことのないまま結婚する人が、障害者には多い気がします。
 

視覚障害というカテゴリに関して言えば、障害を持っていても積極的に社会との接点を増やしてコミュニケーションをとる人もいる一方で、幼少期から障害者のコミュニティにいることで社会的な視野が限定的になり、他のコミュニティに出ていけない方もいます。
 

「障害者はおしゃれなんてしない」と思われてしまうのも、健常者と充実した恋愛をする障害者が少ないからじゃないか?なんて思ってしまいます。
 

障害があっても恋愛はできる。障害者というカテゴリの中だけで生きるのではなく、もっと広い世界をみれば出会いはたくさんあります。私の視力は片目がシャーペンの芯くらいの視野しかありませんが、それでも目の前の人がイケメンかどうかわかるし、一目惚れもします。恋愛において少しのハンデはあるかもしれないけど、克服できないほどのものではないと思います。
 

私の視野はシャーペンの芯ほど。直径0.5mmの円くらい?!

 

視覚障害者の中で一番になってもうれしくない

 

私は一人の女性としてキレイでありたいし、おしゃれも楽しみたいと思っています。視覚障害者のモデルとしてTVなどにメディア出演させてもらっていますが「障害者なのにオシャレ」と言われて満足する人にはなりたくありません。障害者の中で一番になることに意味はありません。一人の女性として充実した人生を送るのが私の願いです。
 

私の視力は徐々に失われています。昔はわかった色が見えなくなっていくのはつらいし、もっとたくさんの色が見えたら、もっとオシャレも人生も楽しめるのに!と思うこともあります。でも、だからといって障害を理由に人生を楽しまないのは損です。
 

障害が理由で、できないことや困難なことはあります。だからといって、何かを諦めるなんてことを私はしたくありません。できないならどうすればできるのか考える、できる範囲で楽しめることを考えることが必要だと思います。障害者が充実した生活を送るには、社会が変わることも必要ですが、同時に障害者の意識や行動が変わることも必要だと思います。
 

私自身は、常に自分自身に高い目標を設定し、自分に負けない強さを求めながら上を目指して生きていきたいです。
 


 

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この記事を書いた人

松田 昌美