私の主治医は、車の例え話を用いて、私の病状とその改善案を表現してくれます。どうやら私は、暴走車だと思われている節があるようです。たしかにそういった自覚はありますし、周りからも猪突猛進型だと、嫌になるくらい、指摘されてもいます。
主治医のことばには、納得して頷ける比喩が沢山にあって、それらがあまりにも的を射ているので、自分で忘れないためにもここに記録しておこうと思います。また、それが、私と似た性質を持つひとや、そういった相手へアドバイスを行うひとにとって参考になれば、と思います。
オーバーヒート対応の鉄則
主治医が話すには、私は入院直前、頭がオーバーヒート状態にあり、予定や他の様々を組み込み過ぎて、脳内が過熱していたそうです。実際に、それで私は駄目になったので、もっともな内容だと納得しました。
主治医はこう続けます。
「オーバーヒートを起こしたら、ボンネットを開けてクールダウンさせる必要がある」
「しかし、いきなり水をぶっ掛けてはならない」
「徐々に自然冷却させるべきだ」
自動車運転免許を持つひとには分かりやすいことなのですが、これらはすべて車のトラブルへの対処方法。もしかすると、主治医にも所有する自動車か、自身がオーバーヒートした経験があるのかもしれません。言い得て妙の例え話です。
私は国産の暴走車のようで…
そして彼は、オーバーヒートを起こした車への対処方法は、私にも通じると告げました。
「あなたの、前に進もうとする姿勢は大変に良いことだ」
「けれども、一方でそれは、欠点にもなってしまう」
「何故ならば、自分を追い込んで、自身の現状に気が付かないから」
これには、私も頷くしかできません。自身を暴走車だと思っている自分に、間違いは無いらしいです。そして、自覚を持っていなかった過去を考えると、これはものすごく重篤な走り振りだといえます。
主治医のみならず、他の人々も、私の就職活動に関する暴走を見かねていたらしいのですが、私自身が、それまでの人生をあまりにも無駄にして悔しがっていたため、止めるにも止められない気持ちもあったらしいのです。
就労支援事業所のある仲間からは、こう言われました。
「山本さんは、気だけで立っていたでしょう」
正確な指摘・・・
できる限り、付いていきたい医師
主治医のいう「自然冷却」が、現在行っている休憩入院のことだと、私は捉えています。“山本”という暴走障害車のボンネットを開けたのは、他でもなく、彼です。物事を自然に任せるには、自分のみが勝手に足掻いてもうまくはいかないのでしょう。
私は主治医へこう話しました。
「自分がオーバーヒートしていると気付いていなかったのは、自分だけだったのですね」
とりあえずは、自然冷却が完了して、フル充電が終わるまでは休もうと思います。それがいくら退屈だったり、暇だったりしても、仕方はありません。
私の現状についての診察が、その主治医と病棟内で行われたときのこと。
主治医「あなたは完全に就職活動でスピード違反を犯していたからねえ」
山本「はい。違反切符を切られるところでした」
主治医「まあ、病院に自首してきたから、いいじゃないの」
もうこの主治医には勝てません。