2015年秋、独断で選んだ注目の障害者便利アイテム5選

「独断で選んだ注目の障害者便利アイテム」の記事を2014年1月から4半期に一度書いていますが、日を追うごとに新しいアイテムが続々と登場しています。
 

このシリーズの執筆を通して最近感じることは「ついにこういうアイテムが登場したんだ(するんだ)」というある種の感動です。日頃から障害者の困りごとに接していると、自分の中に「困りごとストック」が積み重なっていきます。そのストックの中にある困りごとを解決するアイテムに出会うとすごく嬉しいですし、ご紹介できることに喜びを感じています。アイテムの機能とともに、そういった背景などの話を含めて、便利アイテム5選をお伝えしたいと思います。
 

●「ユニバーサルパンツ」
http://www.crosscompany.co.jp/news/index.php?c=topics_view&pk=447
 

earth music&ecologyやgreen parksなどのブランドで知られるクロスカンパニーが、車椅子ユーザー向けの「ユニバーサルパンツ」を発売します。
 


 

座ったままの生活をしている車椅子ユーザーの衣服の困りごとは、普通に歩行生活をしている側には想像が及びません。膝が突っ張らないように前後のバランスを立体的にしたり、お尻の縫い目をなくしたりして、着用時のストレスを軽減する設計を実現したことなどが工夫したポイントのようです。
 

オーダーメイドでの生産は以前からありますが、値段は当然高いものでした。しかし、大手アパレルメーカーが生産に乗り出すことで、リーズナブルな価格で車椅子ユーザーであっても自分に合ったおしゃれを楽しめるようになっていきます。知人の車椅子ユーザーが「自分に合うパンツ(ズボン)が少なくいつも同じものを履いている」と言っていたので、大変感慨深いものでした。
 

●「dot(視覚障害者向けスマートウォッチ)」
http://www.appps.jp/182793/
 


 

「点字が飛び出るスマートウォッチ(ウェアラブルデバイス)」を韓国企業が発表しました。このアイテムはiPhoneと連携させると、文字を使わず通知やメールを点字で表してくれます。そして、短いメールだけでなく、長文の本や新聞などでも利用できるので、分厚い点字の本を持ち運ぶことなく、好きな場所で文章を読むことが出来るのです。
 

●「OptiKey(目の動きでPCを操作できるツール)」
http://gigazine.net/news/20150911-optikey/
 


 

目を動かすだけでコンピュータを操作できるソフトのフリーウェアが、イギリス・ロンドンで開発されました。初めて見る方は衝撃的かもしれませんが、全身まひやALS等の患者さんの使用がするソフト(アイウェア)の機能自体は、実は以前からありました。
 

「OptiKey」が革新的なのは、高価な製品が多かったこのアイウェアの世界で「無料(フリー)」という点です。100ドルのデバイスさえ購入してしまえば、後は、共有サイトから無料で使えます(他に発売されているものの価格は2000ドル程だとか)。以前、似たようなツールの価格が150万円近いため、普及が課題となっている旨の記事を書きましたが、まさにそれを解決するようなアイテムです。この世界に革命が起きるかもしれません。
 

●「スターターアプリ」
http://japan.cnet.com/news/business/35070903/
 

KDDIでは、ろう学校の生徒ともに陸上競技で用いるスターターのアプリ開発を行っているようです。耳が不自由な方の場合、陸上競技などでのスタート合図(位置について、よーいどん)を知る方法は、ピストル音ではなく、光です。つまり、スタートする際には前を向かなくてはなりません。アプリをインストールしたスマホを各競技者の足元に置けば、通常の陸上競技者と同じように下を向きながらスタートできるようになります。
 

国際陸上競技連盟によって光の合図によるスタート方法が認められている中、日本では試作機が1台しかなく、光の合図で練習できないという現状がアイテムの開発背景にはあったようです。2020年東京パラリンピックに向け、スポーツスキルと併せて、障害者のスポーツ環境を整備していく必要があるので、これは大変有意義なアイテムだと思います。
 

●「BuzzClip(視覚障害者用ウェアラブルデバイス)」
http://www.digimonostation.jp/news-trend/other/id36293
 


 

視覚障害の方が移動・外出をされる際、盲導犬や白杖で死角だった「腰から上の高さ」にある障害物を検知する超音波センサーがウェアラブルデバイスで登場します。youtubeで具体例などが挙げられていますが、まさに「死角」を突いたアイテムだなと思います。
 

カナダのオンタリオ州発のこのアイテムは、現在、クラウドファウンディングで資金調達を行っており、うまくいけば2016年4月にはユーザーの元に届けられるそうです。障害の有無に関係なく、移動・外出時の危険は「足元」だけではなく「腰から上の高さ」にもあります。実用的かつ、大きな気付きを与えてくれるアイテムです。
 

最後に、アイテムを使う障害者のリアルなエピソードをご紹介させていただきます。知人は下肢不自由で車椅子を使っておりますが、上肢にも障害があり腕の自由が利きません。そんな彼女はKindle(電子書籍)を愛用しています。
 

「本(荷物)を沢山持って外出することは厳しいし、電車の中で本を開くのも難しい。なによりページをめくるのが大変。だから、Kindleが登場して、本当に助かっている。」

 

義足を履いているだけで、その他には健常者とあまり変わらない私は、本を紙で読むかタブレットで読むかの違い程度にしかKindleに意味を見出せていませんでした。ただ、この話を聞いた際に、kindleによって広がる未来があるんだ、便利な世の中になるんだなと衝撃を受け、自分の中の常識を見直すきっかけとなりました。
 

この「独断で選んだ注目の障害者便利アイテム」の記事が、障害をお持ちの方にとってはご自身の生活に役立つ情報として受け取っていただければ嬉しいですし、今のところ障害とは縁がない方にとっても、世の中にある不便さを知り、ご自身の何かを変えるきっかけとなれば幸いです。
 

このライターの執筆記事

  1. 2016年新春、独断で選んだ注目の障害者便利アイテム5選
  2. 2015年秋、独断で選んだ注目の障害者便利アイテム5選
  3. 日本の福祉機器の先端を知る-国際福祉機器展2015レポート-