最近の新入社員研修は4月、5月で終わりではありません。9月や10月ごろに入社半年後のフォローアップ研修という名で再度同じメンバー、同じ講師で研修を行うというスタイルが増えています。研修会社の営業策にはまってしまっていると言えばそうなんですが、半年経つと新入社員は大きく変わっています。
実際に後輩や部下の指導をしている方は「半年たってもうちの新入社員は全然変わらない」と感じているかもしれません。でも、第三者からみると顔つきも所作も確実に変化はあります。毎日会っている人には「太った」と言っても「全然変わらないよー」と言われるのに、半年ぶりにあった友人には会った瞬間に「太ったよね」と言われるのと同じです。
では、たった半年間で何が変わるのでしょうか?
一番大きいのは仕事に対して当事者意識が芽生えていることです。
4月の研修時には「今のみんなの気付きを仕事に活かすとしたら~」という具体例を交えながら話しても、熱心にメモをとるだけで実感は薄いのですが、半年経つと自分の今の悩みにピンポイントの話が出ると身を乗り出して聞き入り、質問も積極的にしてきます。現場での困りごとがあるからこそ、ともすると抽象的な話が多くなりがちな研修の場面においても、講師の話を自分の仕事という具体的な状況に落とし込んで活用方法を考えることができるのです。
また、10月の研修では、少しずつ仕事を任されるようになったタイミングで、社内外の同期と久々に会うことになります。今の自分の立ち位置を認識するため、多くの場合は少し緩んでいた気持ちを再度引き締めることになります。
配属された部署や先輩のタイプによって仕事の進め方が違うため、自分ができないことを他の同期はすでにできるようになっていると錯覚することがあります。そして「あ、自分はこのままだとヤバイかも」と思うわけです。
ところが、4月から10月にかけての半年間で成長していた新入社員が、次の半年やその次の半年で順調に成長するかというとそうとも限らないのが面白いところです。
もちろん、仕事を通じて様々な経験をしながら業務の幅を広げていく人や昇進していく人も少なくありませんが、気が付けば新入社員よりも仕事ができなくなっているようなタイプの人もいます。こういう人は悪い意味で仕事で手を抜くことを覚えたり、仕事が楽しくなくなったりしています。その原因は本人にある場合もあれば、周囲の環境にある場合もありますが、一度この状況に陥ってしまうとなかなか抜け出すのが難しいのです。
入社半年後のフォローアップ研修というのは、だいぶスタンダードになってきましたが、1年、2年、3年という節目での研修は費用面や時間的な拘束などの面であまり実施されていません。研修といっても、必ずしも外注する必要はありません。経営陣や人事担当者が進行役になってもいいのです。どんな方法でも節目のタイミングで同期入社を集めて、現在の自分の実力と位置を絶対的、相対的の両面で自覚させるということは社員の成長を支援するうえで重要なことだと思います。